【保存版】「空き家税」とは?2つの制度を整理します

空き家税

目次

「空き家税」とは?

「空き家税が始まるらしい」「うちの実家も課税対象になるのでは」
最近、こうした声を耳にする機会が増えています。

しかし「空き家税」という言葉は、実はまったく性質の異なる2つの制度を指して使われており、混同したまま情報を受け取ると、必要以上に不安になったり、逆に本当に注意すべきリスクを見落としたりしてしまいます。

この記事では、世にいう「空き家税」の正体を整理し、四国中央市・愛媛県で空き家を所有する方が今、何に注意すべきかを解説します。

「空き家税」には2つの意味がある

「空き家税」は2種類ある 固定資産税の特例解除(全国共通・既施行)と、自治体独自の法定外税(京都市・寝屋川市) 1 固定資産税の特例解除 全国ですでに施行済み 対象 全国どこでも対象になり得る 仕組み 住宅用地特例(土地の固定資産税 最大6分の1軽減)が外れる きっかけ 「管理不全空家等」の指定・ 自治体からの勧告 増税幅 最大6倍(土地部分の固定資産税) 四国中央市への影響 直接関係あり 対策:定期的な管理・修繕・清掃で勧告そのものを回避 2 自治体独自の法定外税 京都市・大阪府寝屋川市 対象 導入した自治体の区域内のみ 仕組み 固定資産税とは別枠で新たに 課税される(法定外普通税)

四国中央市にお住まいの方、あるいは市内に実家などの空き家をお持ちの方にとって、実務上まず押さえておくべきなのは①です。②はあくまで京都市・大阪府寝屋川市という特定自治体の制度であり、現時点で愛媛県内・四国中央市での導入は確認されていません。ただし今後の動向として知っておく価値はあるため、両方を順番に解説します。

①固定資産税の特例解除——「6倍になる」の正体

「空き家の固定資産税が6倍になる」という話は、新税の話ではなく、既存の固定資産税における住宅用地特例が外れることによるものです。

住宅用地特例とは

土地の上に住宅が建っていると、固定資産税は最大6分の1に軽減されます。従来は空き家であっても建物さえ建っていれば、この特例の対象になってきました。

特例が外れる条件

2023年の空家等対策の推進に関する特別措置法改正により、「管理不全空家等」という区分が新設されました。

  • 外壁・屋根の著しい傷みや破損
  • 雑草・樹木が繁茂し道路や隣地に越境
  • ごみや廃棄物の放置
  • 不法侵入の形跡

こうした状態にあり、自治体から勧告を受けると、住宅用地特例の対象から外れ、結果として土地部分の固定資産税が最大6倍になります。改善されなければ「特定空家等」に格上げされ、最終的には行政代執行(強制解体)の対象にもなり得ます。

重要なのは、「空き家を所有しているだけ」で自動的に増税されるわけではないという点です。あくまで管理状態が悪化し、自治体から勧告を受けた場合に発生するリスクです。逆に言えば、屋根・外壁の修繕や敷地内の草木除去・清掃といった適切な管理を続けていれば、勧告そのものを回避できる可能性が高くなります

四国中央市でも、管理不全な空き家に関する近隣からの相談・通報を起点に現地確認が行われるケースがあります。「まだ大丈夫」と放置している間に管理状態が悪化し、気づいたときには勧告目前という相談は珍しくありません。

②法定外税としての「空き家税」——京都市・寝屋川市の動き

もう一つが、自治体が独自に条例で新設する法定外税としての「空き家税」です。全国初の事例が京都市です。

京都市「非居住住宅利活用促進税」

  • 正式名称は非居住住宅利活用促進税
  • 市街化区域内にあり、生活の本拠として利用されていない住宅(住民票の有無ではなく実態で判断)が対象
  • 税額は「家屋価値割」(家屋の固定資産評価額×0.7%)と「立地価値割」(土地の評価額・床面積に応じて0.15〜0.6%)の合算
  • 家屋の固定資産評価額が30万円未満(導入当初5年間は100万円未満)は課税対象外
  • 相続や居住者の死亡で空き家となった場合は3年間、納税が猶予される
  • 当初は令和8年度(2026年度)の施行が目標とされていましたが、システム開発の遅れにより令和12年度(2030年度)に延期されています

大阪府寝屋川市——全国初の「市内全域」課税

寝屋川市の「空き家流通促進税」は、2026年7月9日に市議会本会議で全会一致で可決・成立しました。京都市が市街化区域のみを対象とするのに対し、寝屋川市は市域が比較的コンパクトで新規の宅地開発余地が少ないことから、市内全域を対象とする点で全国初の事例となります。

  • 課税対象は、市内の空き家1万5,450戸のうち、賃貸・売却の予定がない約6,400戸
  • 税額は、①家屋の固定資産税額、②土地の1㎡あたり固定資産税額×家屋の延べ床面積、の両方に税率35%を乗じて算出(今かかっている固定資産税の3割強が上乗せされるイメージ)
  • 事業用の空き家や、近く賃貸・売却予定の住宅は免除対象。相続で急に空き家になった場合も一定期間の免除が見込まれる(詳細は総務大臣の同意後に正式決定)
  • 総務大臣との同意手続きを経て、2029年度からの課税開始を目指す
  • 想定年間税収は約1億4,000万円で、市の空き家対策費用に充当予定

広瀬慶輔市長は「目的は税収の確保ではなく、空き家所有者の行動変容」と説明しており、事実上、放置に対するペナルティとしての性格が強い制度です。

他地域への波及は?

京都市・寝屋川市に続き、同様の課税を検討する自治体が今後増えるのではないかという見方がある一方で、両市に共通するのは「住宅需要が旺盛なのに供給が追いついていない」という構図です。
京都市は景観規制による建物高さ制限や観光需要による地価高騰、寝屋川市は市域がコンパクトで新規の宅地開発余地がほぼ残っていないという事情があり、いずれも「放置空き家さえ動けば住宅需給が改善する」土壌があるからこそ、あえて所有者に負担を求める制度が成立したと言えます。

一方で、四国中央市を含む多くの地方都市は、人口動態も住宅需給の逼迫度もこの2市とは大きく異なります。
人口減少局面にあり、そもそも住宅の需要が供給を上回っているわけではない地域で、空き家所有者に追加負担を課す法定外税という手段を選ぶ動機そのものが乏しいと考えられます。

現時点で愛媛県内・四国中央市でこの種の課税が検討されているという情報もなく、個人的な見立てとしても、当面は導入の可能性は低いとみています。とはいえ空き家問題への社会的関心の高まりを踏まえ、今後の制度動向は引き続き注視しておく価値はあります。

四国中央市の空き家所有者が今すべきこと

新税の心配をする前に、まず確認すべきは①の「管理不全空家等・特定空家等」に該当するリスクです。

  1. 現況の確認——屋根・外壁の破損、雑草の繁茂、ごみの放置がないか
  2. 定期的な管理——巡回・清掃・修繕を継続し、勧告の対象となる状態を未然に防ぐ
  3. 将来方針の検討——「維持」「賃貸活用」「売却」「解体」のいずれを選ぶかを早めに決める

放置を続けるほど、管理コストと税負担の両方が積み上がっていきます。特に相続で取得した空き家は、名義や書類が整理されないまま時間が経過しているケースが多く、方針決定が遅れがちです。

まとめ

  • 「空き家税」には、①すでに全国で施行されている固定資産税特例の解除(最大6倍)と、②京都市・大阪府寝屋川市が導入する法定外税の2種類がある
  • 四国中央市の所有者にとって重要なのは①で、管理不全空家等・特定空家等の勧告を受けないための日常的な管理が最大の対策
  • ②は現時点で京都市・大阪府寝屋川市に限られた制度だが、今後の全国的な動向は注視が必要

「うちの空き家は大丈夫だろうか」「そろそろ方針を決めたいが何から手をつけていいかわからない」という方は、私たちが現況調査から活用・売却のご提案まで伴走してサポートいたします。お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

長年、市役所で空き家対策に従事。行政経験と専門性で、あなたの空き家のお悩みを解決します

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